造字沼ブックス

造字沼ブックス

- 文字の本を発掘 -

造字沼ブックス

芸術と論理の間で1000年生きる書体をめざして…-『日本字デザイン』 佐藤敬之輔(1963年)

書体研究家・佐藤敬之輔氏による「文字のデザインシリーズ」全6巻である。全巻を通じて圧倒的な情報量なのだ。日本語書体をつくるために、ここまでの研究と分析、鋭い洞察力と知識が必要なものなのか。もし書体デザインを志して、最初にこの本と出会ってしまったら、その時点で挫けてしまうのではないかと思えるほどだ。そんな佐藤氏の設計した書体の中でも、もっとも独創的でコンセプチュアルな作品「横組用平斜体 明朝体〈昭和〉」を今回取り上げたいというお話 (noteで続きを読む)

造字沼ブックス

番外編|あなたの文字認識を拡張する。ドット世界の彫刻家たちー4社のドット書体を味わう。

世の中に明朝体と呼ばれる書体が複数ある。同じようにビットマップフォントもさまざまな企業からリリースされている。8ドットや9ドットのビットマップはギリギリまで削減されているように見えた。しかし、このギリギリのなかに取りうる選択肢がフォントの数だけ存在するのだろうか?それとも概ね同じ形に収斂されてゆくのだろうか?4社のビットマップフォントを比較して真相に迫るというお話 (noteで続きを読む)

造字沼ブックス

アナログとデジタルの境界を越えるドット書体-林隆男「The TYPEBANK」(1985年)

今回ご紹介するのは「書体を創るー林隆男タイプフェイス論集」(ジャストシステム、1996年)と「TheTYPEBANK」(朗文堂、1985年)だ。この書籍は、デザイナーによる書体デザインという概念を広めた林隆男氏の書体論をまとめたものだ。林氏が手掛けた書体は多いが、その中からビットマップフォントにのみ焦点あててゆく。というお話 (noteで続きを読む)

造字沼ブックス

正しいに抗え、 倍速で書ける漢字 - 『東亜新字』 前田黙鳳(1904年)

およそ100年前の明治37年、「東亜新字」と名付けられた書籍が発行された。 この本は、新しい時代に必要な、新しい漢字の形を提案している文献だ。著者は明治を代表する書家。また実業家でもあり、数多くの出版物を通じて生涯にわたり漢学・書の発展につとめた前田黙鳳氏によるものだ。というお話 (noteで続きを読む)

造字沼ブックス

削ることで見えてきた漢字の表象 - 『簡略文字と新書体の提案展』 三宅康文(1965)

第5回目は、書体デザイナー三宅康文氏が1965年『簡略文字と新書体の提案展』で発表した試作簡略文字を紹介したい。「印刷界136」(1965, 日本印刷新聞社)、「宣伝会議 : marketing & creativity 12(3)(131)」(1965,宣伝会議)と「日本レタリング年鑑 1969」(1969, グラフィック社)の3冊から読み解いてゆく。 (noteで続きを読む)

造字沼ブックス

漢字と化学の融合がもたらす明るい未来 - 『漢字の略字デザイン:漢字のサイエンス』 長谷川正義(1995)

「漢字を電算機で扱えない問題」はテクノロジーによって表向き解決された。これと時を同じくして『漢字の略字デザイン:漢字のサイエンス』と名付けられた1冊の書籍が出版された。今回、造字沼本として「21世紀に向けた漢字の姿」を説くこの本を紹介したい。 (noteで続きを読む)

造字沼ブックス

漢字はもっと可愛く書ける! - 『コンピュータに使う漢字の簡略化の限界』 ミキイサム(1976?)

現在では想像もつかないが、テクノロジーの襲来によって漢字が厄介者扱いされていた時代。未来の漢字の姿をどのようにすべきかを本気で考え、不可侵の領域である字体まで踏みこんだ人々がいた。そんな方々が残した書籍(以下、造字沼ブック)を読み、臨書し、その想いを味わうお話しです。 (noteで続きを読む)

造字沼ブックス

漢字の機械化-竹内強一郎(1958)

前回紹介した長野利平氏の『日本常用略字の体系』より遡ること25年。1958年に出版された1冊の書籍がある。『漢字の機械化』(1958年、竹内強一郎・著)と名付けられたこの本もまた、タイプライターに搭載するための漢字を提案したものだ。今回は造字沼本としてこの本を紹介したい。 (noteで続きを読む)